翠玉の監察医 アイネクライネ

六人が無事でいることにホッとしつつ、蘭は警察に連絡を済ませた。あとはアーサーに直接会って星夜の居場所を知るだけだ。蘭はギュッと拳を握り締める。

「神楽さん、警察に連絡していただいてありがとうございます」

圭介がそう言い蘭に近づいてくる。振り返った蘭はペコリと頭を下げた。

「深森さん、来ていただいてありがとうございます。あなたがいなければ……」

想像しただけで体が震えてしまう。監察医という仕事は死というものに関わるもの。法医学を学び始めた頃、人はいつか死ぬものなのだからと考えていた。しかし、人の温もりに触れ、仲間を失ってからは、目の前で命が消えるのは怖くなっていたのだ。

「間に合ってよかったです」

圭介に笑いながら言われ、蘭の胸が優しく音を立てる。そして、もう一度「ありがとうございます」と言った。

その後、圭介に何故この場所に来れたのか蘭が訊ねると、圭介は隠すことなく教えてくれた。