翠玉の監察医 アイネクライネ
「実は、神楽さんが解剖を行なっている時、偶然手帳に書かれた遺書やアーサーからもらった手紙を見つけてしまったんです。そして、神楽さんは俺を戦いに参加させないために睡眠薬を飲ませるだろうと予想して、薬は飲んだフリをしました。そして神楽さんのあとを追って来ました」

「そうだったんですね」

二人はそう話しながら、校舎へと戻っていく。その時、放送が鳴り響いた。

「無事、全員脱出できたみたいだな。よくできました。あとは監察医と探偵に任せるとしよう。体育館に来い」

放送が終わった後、圭介の顔から笑顔は消えていた。真剣な顔で蘭を見つめている。

「行きましょう」

蘭がそう言い歩き出すと、圭介も続いてくる。

「ここまで来たら最後までお供しますよ」

二人は体育館に向かって歩き出す。先ほどまで空に見えていた月が、雲に隠れて消されてしまった。



暗闇に包まれた道を歩き、蘭と圭介は体育館にたどり着く。体育館は日本のものより少し大きめな気がした。

「開けましょうか?」
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