翠玉の監察医 アイネクライネ

「もう一度聞きます。星夜さんはどこにいらっしゃるのですか？」

「教えてやってもいいぜ？でも……」

互いの視線がぶつかり合った後、アーサーはゆっくりとスポットライトから離れていく。そしてステージにゆっくりと腰掛けた。

「お前らが死ぬのが先だろうけどな」

アーサーがそう言い指をパチンと鳴らした刹那、男たちがライフル銃を一斉に発砲する。蘭と圭介は一瞬で姿勢を低くし、銃弾を避けた。気が付けばスポットライトは消え、体育館は暗闇に包まれている。

「敵がどこにいるかわからない……」

混乱しているような声を出す圭介に、蘭は「すぐに体育館から逃げてください。ここは私一人で何とかなります」と冷静に言う。

軍とした訓練で、暗闇の中で戦ったことは何度も経験済みだ。暗闇の中で僅かに聞こえる足音や鼓動、息づかい、脈拍、そういったもの全てを蘭は感じ取れる。

「走ってください！！」

蘭はそう言い、近づいてきた男を投げ飛ばす。圭介が走っていくのを止めようとする男たちを暗闇の中発砲し、威嚇した。