翠玉の監察医 アイネクライネ

圭介が体育館から逃げられたことを確認すると、蘭は隠し持っていたナイフを手に持つ。相手を殺すわけではない。腕などを傷付けて武器を落としてもらうのだ。

自分の倍も大きい男たちを、蘭は恐れることなく立ち向かって倒していく。男たちが落とした武器を奪い、迷うことなく攻撃を繰り返した。

「星夜さんの無事が確認できるまで、私は死ぬことはできません」

殴りかかろうとする腕を蘭は受け止め、急所を蹴り上げる。崩れ落ちた体を地面に倒し、蘭は残っている男たちを見つめた。

男たちは蘭の強さに驚き、もう戦う気力をなくしている。蘭が一歩近づくと銃を向けるものの、その手は震えていた。その様子を見て蘭はさらに男たちに近づいていく。

「何故、撃たないのですか？」

蘭の問いに男たちは答えない。蘭は銃口を掴み、無表情のまま男たちを見つめる。

「体が震えている間は何もできません。撃てないのならば、その銃を今すぐ捨てて降伏しなさい」