翠玉の監察医 アイネクライネ
「ねえ、エメラルドが僕から君への想いだって言ったら嫌がる?蘭から見たら僕はお兄さんみたいなものだろうし」

星夜は頬を赤くして、それでも目に恐怖を浮かべながら言った。蘭はすぐに首を横に振り、「そんなことありません」と答える。

エメラルドは「愛の石」と呼ばれ、愛の成就という意味を持っている。エメラルドを贈ることで愛や献身を意味するということを、蘭はかつての仲間たちから教えてもらった。

「愛してるって言ったら困るかなと思って……」

「思いません。私が言ってはならないのです。私は罪を犯しました。あなたの隣に立つ資格も、あなたと同じ場所へ行くことも、私には許されないのです」

蘭はブローチを握り締め、言う。また胸が温かくなっていく。蘭が星夜にだけに感じる特別な感情だ。

この気持ちが何なのか、蘭にはまだわからない。でも、星夜から「愛してる」という言葉が出た時、思ったのだ。これが「愛」という感情なのではないかと……。
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