獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
ところが皇宮に戻って皇帝という地位につくと、手にしたはずのそれらは指の隙間からこぼれ落ち、流れていってしまう。まるで俺というハリボテの存在を嘲笑うかのように……。
「おいおいマクシミリアン、伸びた近習をいつまでそうしておくつもりだ? 酒宴はもうお開きだ。さっさとそいつを横にして、茹蛸のような顔でも冷やしてやるといい」
「すまんな。俺は行かせてもらうが、客間まで案内するよう外の近衛に言付けておく」
曲がりなりにも客人をひとり残して行くことは後ろ髪引かれたが、腕の中のヴィヴィアンを一刻も早く介抱してやりたかった。
「いらん、いらん。三部屋先の客間の場所くらい覚えている。もう少しひとりで飲んだら適当に引き上げるから、俺のことは気にせんでいい」
「そうか、分かった。それからガブリエル、さっき言っていた『友達ごっこ』などしなくとも、明日以降の視察でお前が我が国の現状を知れば、自ずと国交は開かれるはずだ。俺たちが再び杯を交わす日もそう遠くない」
「はっ! やはりお前は昔から調子のいいことしか言わん」
「おいおいマクシミリアン、伸びた近習をいつまでそうしておくつもりだ? 酒宴はもうお開きだ。さっさとそいつを横にして、茹蛸のような顔でも冷やしてやるといい」
「すまんな。俺は行かせてもらうが、客間まで案内するよう外の近衛に言付けておく」
曲がりなりにも客人をひとり残して行くことは後ろ髪引かれたが、腕の中のヴィヴィアンを一刻も早く介抱してやりたかった。
「いらん、いらん。三部屋先の客間の場所くらい覚えている。もう少しひとりで飲んだら適当に引き上げるから、俺のことは気にせんでいい」
「そうか、分かった。それからガブリエル、さっき言っていた『友達ごっこ』などしなくとも、明日以降の視察でお前が我が国の現状を知れば、自ずと国交は開かれるはずだ。俺たちが再び杯を交わす日もそう遠くない」
「はっ! やはりお前は昔から調子のいいことしか言わん」