獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
そうして無我夢中で劇場のバックヤードを走り抜け、見つけた裏口を飛び出して、冒頭の『どうしよう』へと繋がるのだ。
「はぁ……」
晴天の空を仰いでも、口を衝いて出るのはため息ばかり。
そもそも、『どうしよう』の悩みがひとつじゃない。
頬骨から下半分化粧を残した斑な顔を、どうしよう。
ひとたびマントが捲れれば変質者確定の上半身裸の恰好を、どうしよう。しかもこのマント、借り物と言えば聞こえがいいが、実際は強奪したマントだ。
皇宮への帰り道だって大問題で、銭入れが入った上着は控室に置いてきてしまった。一文無しでは、街道で馬車を捕まえることもできない。
ここから皇宮まで歩いたら、帰り着くのはいったい何時になることやら。
だけどなにより頭が痛いのは、ガブリエル様に女とバレ、求婚され、突き飛ばして逃げ出したもろもろに対する『どうしよう』だ。
「はぁあぁ~」
もう何度目とも分からぬため息がこぼれた。その時、馬車止めの方向からパタパタと駆けてくる足音が聞こえた。
「あー! ヴィヴィアン、いたいた!」
「はぁ……」
晴天の空を仰いでも、口を衝いて出るのはため息ばかり。
そもそも、『どうしよう』の悩みがひとつじゃない。
頬骨から下半分化粧を残した斑な顔を、どうしよう。
ひとたびマントが捲れれば変質者確定の上半身裸の恰好を、どうしよう。しかもこのマント、借り物と言えば聞こえがいいが、実際は強奪したマントだ。
皇宮への帰り道だって大問題で、銭入れが入った上着は控室に置いてきてしまった。一文無しでは、街道で馬車を捕まえることもできない。
ここから皇宮まで歩いたら、帰り着くのはいったい何時になることやら。
だけどなにより頭が痛いのは、ガブリエル様に女とバレ、求婚され、突き飛ばして逃げ出したもろもろに対する『どうしよう』だ。
「はぁあぁ~」
もう何度目とも分からぬため息がこぼれた。その時、馬車止めの方向からパタパタと駆けてくる足音が聞こえた。
「あー! ヴィヴィアン、いたいた!」