獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
 力強く断言したら、ハミル殿下はパチパチと目を瞬き、次いでコロコロと可愛らしく笑いだす。
「ふふっ。やっぱり、ヴィヴィアンっておもしろい。耳と尻尾くらい、いくらでも触ってくれて構わないよ。はい、どうぞ」
 ハミル殿下はそう言って、私にスリッと体を寄せてくれた。すると虎耳がふわんっと私の顎を掠め、尻尾の先っちょがぽふんっと脇腹のあたりを擽る。
 うわぁあぁ! この手で実際に触れる前から、この夢心地はなにごと!?
 既に幸せすぎて蕩けそうだ。……ならば、この手で実際にモフったら、果たしてどれだけ幸せになれてしまうのか!?
 ゴクリとひとつ喉を鳴らし、歓喜と興奮に震える右手でふわふわのケモ耳、左手で魅惑のモコフワ虎柄尻尾を同時に撫で上げた。
 わ、わっ、うわぁああ~っっ!! 手のひらがモコフワの毛に沈み込んだ瞬間、心が宇宙に飛び立つ。
 な、なっ、なにこれ――っ!? 気持ちいいどころじゃない、もしかしてここはこの世の天国!?
 私は一瞬で極上モフモフの虜になり、憑かれたように一心不乱にモフりまくった。
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