獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
私と共に眠らされた状況から考えれば、彼は実母の犯行の計画を知らなかったはず。目覚めた後に、彼は否が応にも知ることになっただろう。
彼は母が起こした一連の出来事になにを思い、ひとり離宮を後にしたのか……。
帝国劇場まで迎えに来てくれた時、いまだ幼さを色濃く残す頬に無邪気な笑みを浮かべ、モコモコの虎耳と尻尾を揺らしながら駆け寄ってきたハミル殿下の姿を思い出すと胸が痛んだ。
「付近一帯を隈なく捜せ! どこに向かうにしてもハミルには足がない。漁港の貸し馬車屋や船舶の乗合所から漏れなく調べろ!」
「ハッ!」
マクシミリアン様の指示で、カロスさんが踵を返し駆けていく。廊下で待機していたのだろう、カロスさんに続いて複数人が走り出していったのが気配で分かった。
私がカロスさんたちが消えた扉を見つめて呆然と立ち尽くしていたら、背中にマクシミリアン様が歩み寄る。
「この後、俺もハミルの捜索に加わる」
「はい、とても心細くしていらっしゃると思います。お兄様に見つけてもらったら、きっと安心します」
彼は母が起こした一連の出来事になにを思い、ひとり離宮を後にしたのか……。
帝国劇場まで迎えに来てくれた時、いまだ幼さを色濃く残す頬に無邪気な笑みを浮かべ、モコモコの虎耳と尻尾を揺らしながら駆け寄ってきたハミル殿下の姿を思い出すと胸が痛んだ。
「付近一帯を隈なく捜せ! どこに向かうにしてもハミルには足がない。漁港の貸し馬車屋や船舶の乗合所から漏れなく調べろ!」
「ハッ!」
マクシミリアン様の指示で、カロスさんが踵を返し駆けていく。廊下で待機していたのだろう、カロスさんに続いて複数人が走り出していったのが気配で分かった。
私がカロスさんたちが消えた扉を見つめて呆然と立ち尽くしていたら、背中にマクシミリアン様が歩み寄る。
「この後、俺もハミルの捜索に加わる」
「はい、とても心細くしていらっしゃると思います。お兄様に見つけてもらったら、きっと安心します」