獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
なにより俺を忌避するのは母だけではない。今でこそ俺の皇帝としての手腕は認められ一定の評価もされているが、当時、俺の耳なしを知る皇宮高官たちは直接の危害こそ加えなかったものの、侮蔑を隠そうとしなかった。
そんな中、皇帝であった父だけは理性的だった。『我が一族の顔が獣型でなくなって久しい。世情を鑑みれば皇統から虎耳や尻尾といった獣人の特徴が完全に消えるのも時間の問題だったのだ。それが今のこのタイミングで、我が皇子だったというだけだ』と、こんなふうに周囲を諭していた。
それでも国民への少なからぬ影響を考えて、父も高官らも俺が耳なしという事実の公表には慎重だった。俺は彼らの『然るべき時がきて、公表をするまでは秘する』との決定に従って、人前では常にターバンを着用するようになった。そうして父が逝き、帝位に就いてからも、俺は自身の判断によってターバンの着用を続けていた。
「ハッ!! なにが強さの象徴だ、馬鹿らしい!」
そんな中、皇帝であった父だけは理性的だった。『我が一族の顔が獣型でなくなって久しい。世情を鑑みれば皇統から虎耳や尻尾といった獣人の特徴が完全に消えるのも時間の問題だったのだ。それが今のこのタイミングで、我が皇子だったというだけだ』と、こんなふうに周囲を諭していた。
それでも国民への少なからぬ影響を考えて、父も高官らも俺が耳なしという事実の公表には慎重だった。俺は彼らの『然るべき時がきて、公表をするまでは秘する』との決定に従って、人前では常にターバンを着用するようになった。そうして父が逝き、帝位に就いてからも、俺は自身の判断によってターバンの着用を続けていた。
「ハッ!! なにが強さの象徴だ、馬鹿らしい!」