獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
彼女の感情を映すように、ピクピクと小さく耳が揺れる様がなんともいえず可愛らしい。
「僕はマクシミリアン様付きの近習のヴィヴィアンだ。三週間前からお仕えしているが、君と顔を合わせるのははじめてだね。最近、新しく入ったのかい?」
「い、いえ。私は昨年より皇太后様の元で行儀見習いをしております、ユリアと申します。普段は皇太后様がお住まいの離宮で身の回りのお世話をさせていただいておりますが、此度は皇太后様の皇宮滞在に同行してまいりました」
なんとユリアは、新入りではなく皇太后様付きだったようだ。しかもそのキャリアは私よりも長い。
「そうだったのか。ならば、これは皇太后様の居室までだな」
「はい……っ、いえ! やはり結構でございます!」
にこやかに頷きかけたユリアだったが、突然、ハッと気づいたように私の手に移った櫃に向かって手を伸ばしてくる。
「急にどうした?」
「ヴィヴィアン様のお申し出はありがたいのですが、手伝っていただいたのが皇太后様に知れたら、きっと叱られてしまいます」
「僕はマクシミリアン様付きの近習のヴィヴィアンだ。三週間前からお仕えしているが、君と顔を合わせるのははじめてだね。最近、新しく入ったのかい?」
「い、いえ。私は昨年より皇太后様の元で行儀見習いをしております、ユリアと申します。普段は皇太后様がお住まいの離宮で身の回りのお世話をさせていただいておりますが、此度は皇太后様の皇宮滞在に同行してまいりました」
なんとユリアは、新入りではなく皇太后様付きだったようだ。しかもそのキャリアは私よりも長い。
「そうだったのか。ならば、これは皇太后様の居室までだな」
「はい……っ、いえ! やはり結構でございます!」
にこやかに頷きかけたユリアだったが、突然、ハッと気づいたように私の手に移った櫃に向かって手を伸ばしてくる。
「急にどうした?」
「ヴィヴィアン様のお申し出はありがたいのですが、手伝っていただいたのが皇太后様に知れたら、きっと叱られてしまいます」