ささやきはピーカンにこだまして
「じゃな、小松、八木」
「じゃあね、頼んだよ、メーメ」
はい。
息もぴったり。
並んでお帰りですね。
お似合い…ですよぉ。
今の女バドに3年生が10人もいるのは、同級生に結城先輩と真澄先輩っていう、学校屈指の美形メンズがいるせいだもんね。
(不純なんだ、知ってるぞ)
まぁ、結城先輩は美香キャプテンにつかまっちゃったみたいだし、真澄先輩はそもそも結城先輩にくっついて入部しただけで、ほかに習い事をしているから練習が週2の部活がちょうどいいって、あっけらかんとしてるひとだから。
10人もまだ残ってるっていうのは、美香キャプテンの統率力なんだろな。
どの大会も地区予選で準々決勝に進めるくらいには成果も上げてるし。
週2の練習で公式試合に出られるところまで、仲間をまとめてるってすごいことだと思う。
「うーん」
それからすると、わたしたち2年生は、ガードレールを蹴って骨折したアホの武田といい、勧誘係なのに顔もあげられないヘタレの小松といい、わたしたち女子にとっては、できの悪い弟以外のなにものでもないわ。
「な、なんだよ」
わたしがため息をついたのに気づいた小松が、椅子のうえでお尻をもぞもぞさせる。
「…………」
安心しな。
もはや説教している時間もないわ。
(はぁ…)
仕方ない。
とっておきの技をくりだすときが、きてしまったようね。
「…………」
大きく深呼吸。
吸ってぇ、吐いてぇ。