ささやきはピーカンにこだまして
「バドミントンは週2回で――す!」
 となりで小松が耳をふさぐ。
 ばかっ。
 あんたもやるのよ、んもう。
「練習は男女いっしょ。ナイスガイな先輩たちと、楽しく練習しましょー」
 とたんにレッドカーペットを歩く女の子たちから、くすくす笑い声。
「ちょ…、ちょっと八木(やぎ)。そのナイスガイっての、やばいよオレ」
 小松ぅ。
「いいじゃないの、うそじゃないもの。とりあえず結城先輩と真澄先輩は我が校トップクラスのナイスガイだわ」
「そんなの、この状況でどう納得させるんだ」
 なに赤くなってんのよ。
「ナイスガイは、ちゃんといますからぁ。うそじゃないでーす」
「きゃははは」「うふふ」
 立ち止まってくれた子たちが笑ってる。
 よーし。
 チャンス、チャンス。
「本当だよ。…こんなジャガイモじゃなくてぇ、入部すればわかるよぉ」
「くすくす」「うふふ」
 おー、またうけた。
 悪いね、小松。
 ネタにしちゃってごめんよ。
 わたしだってノルマ5人。必死なのよ。
「すっごいステキな先輩が! 手とり足とり! 楽しいよ」
「ふふ。先輩みたいな上級生がいるなら、わたし、入ってもいいなぁ」
 まっ、かわいいことを。
< 13 / 200 >

この作品をシェア

pagetop