ささやきはピーカンにこだまして
〔イチローさん? 明日からも入り時間は同じだから。よろしくお願いしますね〕
「…………」
もう、わかってるくせに。
どうしてわたしに言わせようとするのよ。
わたしは聞けないんだよ。
あのとき、なにを言ったの?
言おうとしたの? って。
それなのに、言いたくないことは言わせるの?
〔イチローさん?〕
「…………」
きみの身体、温かかった。
ドキドキした。
だから余計にくやしくて、言いたくないのに。
〔ねぇ…聞いてる?〕
「悪いけど。2週間の約束だから」
〔ちょっと。…それ、どういうこと?〕
「代わりは女バドS1の門脇先輩になると思う」
〔――なにそれ〕
「ごめん。切る」
〔ちょ――…〕
相手の話を最後まで聞かずに電話を切ったのなんて初めてだ。
でも……。
「なんでなんて、言わせるな、ばか!」
だめ…だからよ。
わたしなんかじゃもう、きみの練習相手にはならないからよ。
「く…や、しい」
くやしいよ。
くやしがる資格もないのが、くやしい。
週2の部活で満足して。
レギュラーになれないのは、まだ2年生だからって自分をごまかして。
本気で強くなろうとするきみと真剣に向き合う時間がなかったら、きっとそんな自分に気づかないふりをし続けた自分が…恥ずかしい。
「…………」
もう、わかってるくせに。
どうしてわたしに言わせようとするのよ。
わたしは聞けないんだよ。
あのとき、なにを言ったの?
言おうとしたの? って。
それなのに、言いたくないことは言わせるの?
〔イチローさん?〕
「…………」
きみの身体、温かかった。
ドキドキした。
だから余計にくやしくて、言いたくないのに。
〔ねぇ…聞いてる?〕
「悪いけど。2週間の約束だから」
〔ちょっと。…それ、どういうこと?〕
「代わりは女バドS1の門脇先輩になると思う」
〔――なにそれ〕
「ごめん。切る」
〔ちょ――…〕
相手の話を最後まで聞かずに電話を切ったのなんて初めてだ。
でも……。
「なんでなんて、言わせるな、ばか!」
だめ…だからよ。
わたしなんかじゃもう、きみの練習相手にはならないからよ。
「く…や、しい」
くやしいよ。
くやしがる資格もないのが、くやしい。
週2の部活で満足して。
レギュラーになれないのは、まだ2年生だからって自分をごまかして。
本気で強くなろうとするきみと真剣に向き合う時間がなかったら、きっとそんな自分に気づかないふりをし続けた自分が…恥ずかしい。