ささやきはピーカンにこだまして
第13章『ウンメイ ノ アカイ イト』
「いやだ、ちょっと。パパったら、ご飯ふたつ持って行っちゃったんですって」
土曜の朝11時。
キッチンで冷蔵庫をごそごそあさっている最中に、リビングで突然の大声。
「なにそれ。意味わかんない」
ヨーグルト片手にのぞきこむと、母さんが受話器をふりまわしてジタバタしていた。
「いやだパパ。じゃ、二紀はオカズをふたつ持って行っちゃったのね?」
ああ、そういうこと。
まぬけな親子ね。
理解したのでソファーに着席。礼。いただきまーす。
「…ええ。わかったわ。気をつけて」母さんが電話を切って唇をとがらせる。
「ちょっと、一路。聞いてた?」
聞いてましたよ。
「お父さん、新幹線から? もうお弁当をひろげてるの? どんだけ食い意地が張ってるんだ」
やれやれ。
休みにドタバタ出かける男ふたりに、せっかくお弁当を用意したのにねぇ。
うかつ夫にまぬけ息子。
不幸の二重奏ですね。
久々に笑える話だわ、こりゃ。
ところが話はヨーグルトを食べているあいだに、笑い話ではなくなってきた。
土曜の朝11時。
キッチンで冷蔵庫をごそごそあさっている最中に、リビングで突然の大声。
「なにそれ。意味わかんない」
ヨーグルト片手にのぞきこむと、母さんが受話器をふりまわしてジタバタしていた。
「いやだパパ。じゃ、二紀はオカズをふたつ持って行っちゃったのね?」
ああ、そういうこと。
まぬけな親子ね。
理解したのでソファーに着席。礼。いただきまーす。
「…ええ。わかったわ。気をつけて」母さんが電話を切って唇をとがらせる。
「ちょっと、一路。聞いてた?」
聞いてましたよ。
「お父さん、新幹線から? もうお弁当をひろげてるの? どんだけ食い意地が張ってるんだ」
やれやれ。
休みにドタバタ出かける男ふたりに、せっかくお弁当を用意したのにねぇ。
うかつ夫にまぬけ息子。
不幸の二重奏ですね。
久々に笑える話だわ、こりゃ。
ところが話はヨーグルトを食べているあいだに、笑い話ではなくなってきた。