ささやきはピーカンにこだまして
 四角い校舎の向こうに体育館の赤いドーム屋根がきらきら。
 今のわたしにはまぶしい、戦いにいく者たちの集う場だ。
 それはつまり、(じゅん)もそこにいるということ。
 ああ。
「神様、お願い」
 とにかく準には会わせないでください。


 校舎をぐるっとまわって。
 めったに使わない、校庭から体育館2階アリーナへの直通の外階段をとんとん…と上りはじめたとき、上から白い集団がぞろぞろとやってきた。
 見上げると、太陽の光に逆光になったヒトの身体が、ほわーっと輪郭をなくして。
 そのまわりを、お米の粒のような光が乱反射している。
 それは、つらいけれど誇らしい練習の汗。
 ひとりだけジーンズのわたしには切ない景色。
「あら、メーメ。どうしたの?」
 美香キャプテンの明るい声がふってきた。
「あのキャプテン、八木(やぎ)は…まだ中ですか?」
「うはははは。ヤギぃ。な一に他人のふりしてんだよ。二紀(にき)ならまだアリーナだぞ」
 この豪快な笑い声は真澄先輩。
 上半身はだかで、階段を下りながら派手な迷彩柄のトップスをはおるという大胆さ。
 おへそ見えてますよぅ、真澄せんぱーい。
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