ささやきはピーカンにこだまして
「あ。どうしよう」
二紀がわたしの手を引っ張る。
いま渡したばかりの、おむすびの入った紙袋がまたわたしの手にもどされた。
(なに?)
「ジャンケンで準が自販機にお茶を買いに行ったんだけど。姉ちゃんも食べていくよね? オカズふたり分あるし。待ってて。お茶、買ってくる。行くよ、小松先輩」
「え? え、え? 待って二紀。おれも?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
気まずい沈黙。
紙袋を下げて茫然としたわたしは、先に出た子は先に帰ってくるということを忘れていた。
「遅い…ですね」
「うん」
「ぁの……、飲んでもいい…ですか?」
準が手の中でしたたるほどに濡れているウーロン茶の缶を持て余した手をちょっと上げた。
「わわ。ごめん。ぬるくなっちゃうよね。飲んで!」
「すみません」
コトリと残りの2缶を足元に置いた準のほうは、もう見られない。
遅い。
遅い、遅い、遅い。
ばかどもがぁ。
「二紀は策士で……、小松先輩は素直です」
「え?」
あ…、ああ。
ダブルスの話ね。
「そうだね。ふたりだけの戦術が練りあがってくれば、いいコンビになるかと思う」
「二紀は…いいな。思いどおりにひとが繰れて」
「…………」
それは、ほめてるんだろうか。
二紀がわたしの手を引っ張る。
いま渡したばかりの、おむすびの入った紙袋がまたわたしの手にもどされた。
(なに?)
「ジャンケンで準が自販機にお茶を買いに行ったんだけど。姉ちゃんも食べていくよね? オカズふたり分あるし。待ってて。お茶、買ってくる。行くよ、小松先輩」
「え? え、え? 待って二紀。おれも?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
気まずい沈黙。
紙袋を下げて茫然としたわたしは、先に出た子は先に帰ってくるということを忘れていた。
「遅い…ですね」
「うん」
「ぁの……、飲んでもいい…ですか?」
準が手の中でしたたるほどに濡れているウーロン茶の缶を持て余した手をちょっと上げた。
「わわ。ごめん。ぬるくなっちゃうよね。飲んで!」
「すみません」
コトリと残りの2缶を足元に置いた準のほうは、もう見られない。
遅い。
遅い、遅い、遅い。
ばかどもがぁ。
「二紀は策士で……、小松先輩は素直です」
「え?」
あ…、ああ。
ダブルスの話ね。
「そうだね。ふたりだけの戦術が練りあがってくれば、いいコンビになるかと思う」
「二紀は…いいな。思いどおりにひとが繰れて」
「…………」
それは、ほめてるんだろうか。