ささやきはピーカンにこだまして
「見ててあげる。びーびー泣くところ、ずーっと見ててあげるよ、準」
心からのエールをきみに。
準は一瞬、目を伏せた。
それからポケットに両手を突っこんで。
わたしを真っ直ぐ見た目は、お久しぶり。
生意気・準。
「言ってみただけさ。ぼくが負けるもんか。そうでしょ?」
「おー、強気だこと」
わたしは降伏のしるしに歩き出す。
準もわたしが隣りに並ぶと、ゆっくりとみんなのほうに歩き出した。
「先輩……」
「ん?」
「がんばるよ」
「――――うん」
それぞれに。
改札をやってくるそれぞれの仲間に手を振りながら。
言葉だけがわたしたちのあいだをやさしくラリー。
「女子の試合を見てないと、怒られる?」
「気にしない、気にしない」
「本当に…いいの?」
「あったりまえでしょ」
「そっか……。心強い」
「うそつくな。鋼鉄の心臓のくせに」
「イチローさんほどじゃないな」
「なんだとぉ」
目は仲間たちを追っている。
手も仲間たちに振っている。
わたしたちは、ただ、並んで歩くだけ。
いつか、つらくなるかもしれないけれど。
今は、これで、いい。
好きなんだもの。
きみとこうして歩ければ。
わたしはそれで、いいの。