ささやきはピーカンにこだまして

「彼がいつも話してる実取(みどり) (じゅん)。――こっち、姉貴ね」
「――やっぱり…、そう…だった」
 なによぅ、そのリアクションは。
 あなたも、わたしたちがそっくりだって言いたいわけ?
 ひっぱたくよ。
 …と思っていたら、またまたひとの腕を突くやつ。小松。
「な、な、八木(やぎ)。弟くんたち、なんか部活やってんの?」
 お一。
 すばらしい。
 やる気でてきたね、小松。
「ごめんなさいねえ。ぼくと準、硬テに入るんです。な?」
 な…って、二紀(にき)、ちょっと!
「うそ。あんたが部活するの? いつ決めたのよ。わたし聞いてないよ」
「言ってないし」
 なにシラッとしてるのよ。
「やるならバドミントンでしょうよ。道具はなんでも貸してあげるからっ」
「やだよ、バドミントンなんて。超だっさ」
「ひゃははは」「だよね」
 ミドリジュンに熱視線を送っていた女の子たちが、ばかうけ。
 ちょっと!
 それはないんじゃないの?
 あなたたち、そのバドミントン部の勧誘デスクのまえを、さっきからずーっと占拠してるんですけど?
 わたしが机からずずっと上半身をのりだしたら、
「なに笑ってんだよ。入部する気がないなら、おまえたちジャマだぞ、さっさと帰れ」
(あ…ら……)
 先に怒ってくださっちゃったのがミドリジュン。
 かわいい顔して、醸し出してるオーラそのまま、キツイのね、きみ。
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