声と性癖
蓮根は、それを察している。
知ってて、引かないんですよ。

鏡を見ながら蓮根は髪を直す。
仕事の時は顔がしっかり見えることは、信頼に繋がるし、蓮根は自分の顔立ちがある程度迫力があることは分かっている。

だから、敢えて髪をほとんどバックに流すようにしているのだが、オフならば、そこまでのインパクトは要らないだろう。
少し、柔らかく見えるように、前髪を少しだけ下ろした。
彼女は気に入るだろうか。

彼女の弱みにつけ込んででも、彼女が欲しい。
それはとても強い衝動だ。
今は定期的に連絡をし、休みの日に会ってもらえる所まで来た。

次は、どうしましょうね…?

蓮根自身、時間のない中、週末をどのように過ごそうかを考えるのは、とても楽しいことだった。

こんな事なら、もっとあのマンションを利用して、いろいろ把握しておけばよかった、という気持ちもあるし、一緒に楽しむのも、結衣とならいいかとも思える。

時間を作っては、行けそうなところをどんどんブックマークしてゆく。
一緒にドライブに行って、楽しく過ごし、自分のことを知ってもらう。

フィジカルコンタクトは……深追いはしない、そう決めた。
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