声と性癖
「ね、結衣さんの心臓、すごくドキドキしてる。」
服の上からでも、触れられたら分かるほどの、その鼓動。

「う…、だって…。」
ふっと、笑った蓮根が結衣を抱き締めた。

「大丈夫。僕も、一緒ですよ。」
ほら、と手を掴まれて、結衣は蓮根の胸に触れさせられた。

確かに、蓮根の心臓が早鐘を打っている。

「それは、ね、やっぱり、好きな人に触れているんだから、ドキドキしますよ。」
「…っあ…」

「それに、その声…堪らないです。もっと、聞かせて?」
明らかな意志を持って、蓮根が結衣の耳に触れる。

その瞬間、結衣は背筋がぞくん、とした。
蓮根の膝の上なので、動きは全部伝わってしまう。

そして、知られている、そう思うと、更に快感は増幅されるような気がして。

声を、聞かれている。
動きが、伝わっている。
心臓の鼓動すら知られている。

蓮根の唇は、耳元から首へと、移り、更に鎖骨にまで辿り着く。
「ふっ…んんっ…ちょっ…」
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