声と性癖
14.正しい電話の使い方
結衣の姿を見て佐野が手を挙げ合図する。
結衣は、引戸を開けて屋上庭園に出た。
夕方の風はひんやりとしている。

「寒くないですか?」
「ま、男は黙って、てこともあるわけだ、な?幹也?」
「……ですね。」

「じゃ、俺は戻るけど、さっきの話、結衣先生にもしてやってな。俺はお前が来るの、楽しみにしてるから。」

佐野が笑って、席を立つ。
藤川は自分も立って、「ありがとうございました。」と、頭を下げた。

藤川は結衣を見て、少し笑って、またベンチに腰掛ける。
「佐野さん、男の俺から見てもカッコイイですね。」

「そっかー。その辺は分からないけど。私がこのセンターに入った時の先生でもあるんだ。リーダーシップはあるかなあ、と思う。」

未だに、佐野に行くぞ!と言われると、はい!と返事してしまう結衣だ。

指導も的確で、指示も的確。
確かに上司として、憧れるところはある。

「してやって欲しい話って、何?」
「あ、それ…。」
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