声と性癖
聞いているだけで、鼓動はどんどん高くなる。
体温も上がって、身体の奥が熱い。

『結衣さん、最初は下腹部。結衣さんは痩せたいって言うけど、充分ですよ。細いウエスト……柔らかいお腹……あばらをなぞって、胸の下に触れる。結衣さん、自分で触れてみて?』

自分の手を僕の手だと思って……。
結衣は言われるがまま、つっ……と胸の下の方をなぞる。

涼真に触れられた時のことを思い出して。
軽く息が乱れた。
「……っ……」

『結衣さんの胸の下の方……柔らかくて好きなんです。どう?柔らかいでしょう?』
ふわりとしていて、けれど押し返してくるハリがあって、こんな感触なんだ……と結衣は改めて思った。涼真が好きだ、と言うその感触。
「は、い……」

『そのまま、身体のラインに沿って、胸の外を指で辿って?まだ、先には触れないで。』

「……ふっ、あ……」
抑えようとしても、声は漏れてしまった。
『うん。いい声。もっと聞かせて。』

囁くように、優しく耳元で、もっと、とせがまれる。
触れてもいない、胸の先端がずきずきする。
腰の辺りもぞくっとして、きゅうっと膝を合わせてしまう。
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