声と性癖
「なーんかさー、イケメンなっちゃったもんねぇ。いい恋してんだねー。」
そう言われて、藤川は照れている。

今までは照れる様子も素直に見せなかったりしたのだが、本当の藤川はとても、シャイなようだ。

その様子も可愛いっ!と散々弄られて、最初の頃の馴染めなかった様子が嘘のようで、結衣は微笑ましく感じた。

「高槻。」
佐野が、結衣を呼ぶ。

「はい。」
結衣は返事をして、佐野の横に座った。

「あいつは大丈夫だって。あとは俺が面倒見るし。」
佐野がそう言ってくれるのなら、安心だ。

チーム分けの発表はまだされていないが、藤川は佐野の下に付く、ということなのだろう。

「はい。よろしくお願いします。」
結衣は、ぺこりと頭を下げる。

「先生、というよりお母さん化してるぞ、お前。」
「莉奈ちゃんに、自分の子は可愛いって言われましたけど、その気持ち分かります。」

結衣は、真顔で答えたのだった。

打ち上げも終え、みんなすっかり仕上がった状態で外に出る。
もちろん結衣もだ。
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