声と性癖
「結衣先生、そこ、段差あります。気をつけ……」
「はぅわっ!」

気をつけてと言われた矢先に、結衣はお店の出口の段差につまづく。

「結衣っち、大丈夫か?」
ちょうど、後ろにいた佐野が支えてくれた。
「び、びっくりした……。」
「段差あるって、言われたろ。」

「佐野さん、すみません……」
佐野が後ろから抱き抱えてくれている。
「気をつけろよ。」
「はい……」

「……結衣さん?」
目の前に、蓮根がいた。

「え、涼真さん?」
「大丈夫ですか?」

蓮根が、やんわり佐野から結衣を受け取る。

後ろから来た女子達から、きゃーと黄色い声が聞こえるが、結衣はすでに頭が真っ白だ。
ち……ちょっと、その登場は……。

「結衣っち、彼氏?超絶いい男だな。どうも、高槻の上司の佐野といいます。」
突然現れた蓮根にも動揺することなく、冷静に返すところ、佐野はさすがだ。

蓮根も柔らかい笑顔を向ける。
「初めまして。蓮根と申します。」
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