声と性癖
3.それは通常対応です
「久しぶりー!」
査定の仲間が予約してくれたのは、会社の近くの割烹居酒屋だ。

刺し盛りが新鮮で、結衣が好きな店なのだった。

お店のご主人も結衣の顔を見て、久しぶりだね、と喜んでくれる。
馴染みでもあるので、奥のこじんまりした個室を用意してくれていた。

結衣が刺身が好き、ということも知っているので予約があった時点で覚えていてくれて、お刺身も今日はいいのがあるからね、と言ってくれた。

みんなで席に着き、乾杯すると、
「で、どうー?」
と仕事の話になる。

「環境の変化が結構大変なのねー。」
元の仲間達には、本音を言える結衣だ。

「あ、でも、最前線で結衣ちゃんが電話受けてくれてる、と思うと、あたしたちも安心なんだよねえ。」
元の同僚達は、そんな風に言ってくれる。

「そう言ってもらえると……泣けるよー。うちのセンターの子たちも頑張っているからさあ、何かあったら何でも言ってねー。」
部署が変わっても、苦労を共にした仲間がいることに、結衣は心強さを感じた。

本当に周りに助けられているなぁと感じるのだ。
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