声と性癖
思い出して、結衣は声も顔も隠したいけれど、その手は涼真に一括りにされたままだ。

「抵抗、しないで下さい。……興奮する……」
その低い声に、結衣はびくんとしてしまう。

──気持ち良かった?
結衣の上にいる涼真が身体を傾け、結衣の耳元にそう囁く。

「気持ち、良かったですよね?すごく、ぐちゃぐちゃになっちゃったんですよね。もしかして、今も?」

ブラウスははだけたままで、ブラジャーも外れてしまっている結衣の身体のラインを、涼真はその指で辿る。

「コレね、視界的にクるんですよね。まるで、あなたを犯しているみたいだ。」
「あ、そんな、こと……」

実際そんなことはないのに、耳から入るその声に、犯されているようだ。

涼真は結衣の上で、ゆっくり、ゆっくり、身体をなぞっていく。
結衣が焦れて動いても、それを許してくれない。

「結衣さん、身体、熱いです。」
「んっ!……あ、やだ、や……」
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