声と性癖
ふああっ……と高槻は両手で顔をおおっていて。

……だろうなあ。
そこまでしなくても、取らないから。

「佐野さん、失礼致します。」
助手席のドアを閉め、佐野に一瞥をくれると、2人は車で去っていった。

高槻……お達者でな。
佐野は心の中で合掌した。
振り返ると、みんな、毒気を抜かれたような顔をしている。

「なんと言うか……ドラマみたいでしたねぇ。」
「動画とか撮れば良かったです。」
「絵になるお二人でしたね。」
「夢でも見ていたようでした。」

女子って……。

佐野は口元が引きつるのを感じた。
あ、いや、多分……あれは本当に大変だぞ?


    
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