声と性癖
『涼真兄~~。』
「楓真だ。」
「楓真……さん?」

「弟ですよ。この前、顔は見ましたよね。」
この前……それは初めてのアレコレがあった時のことだろうか?

「涼真さん……開けてあげましょう。」
あまりそれについては深く掘り下げずに、結衣は涼真ににっこり笑った。

涼真がオートロックを解除する。
そのまま玄関の鍵を開けに行った。
「涼真兄ーー。」
「どうしたんだ?」

「俺のマンション、帰ったら……、てか、なんかすげーいい匂いする。」
兄弟っぽいやりとりに微笑ましくて、思わず笑みが浮かんでしまう結衣だ。

「こんばんは。」
結衣はキッチンから出て、ぺこりと頭を下げる。

「あ、この前の人だ。やっぱ可愛い。」
「楓真、結衣さんは僕のなんで。」

「分かってるよ。こんばんは。弟の蓮根楓真です。」
「先日は失礼しました。高槻結衣です。」
「結衣さん。よろしくお願いします。」
楓真は、にこっと笑う笑顔が爽やかで可愛い。
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