声と性癖
「またまたー!」
「本当ですって。うちの部内でも、みんなそう言ってますから。どこにいるんですか?」

「コルセンでーす。」
「直接は接点なくなるのかなぁ…。」

「でも、結衣ちゃん、あちこちに電話かけまくっているよね。」
「はい。また、助けてーってお電話するかもです。知らない、とか言わないでくださいね。」

「コルセン?コールセンター?コールセンターの高槻さんって、その高槻さん?」
結衣の配属先を知って、急に顔色が変わる北条だ。

ん…?

「あ、ちょっと、待ってて。てか、高槻さん、ちょっと。」
北条に手を引っ張られる。

「今、うちの部内の重要客先と飯なんだけど、高槻さんがその高槻さんって僕知らなくて。
まあ、分かれば納得だけど。
その人、この前、高槻さんに対応してもらってすごく感謝されているそうなんだ。よかったら、少し顔出してくれると非常に助かるんだけど。」

本来なら、査定も、コールセンターも裏方だ。
お客様との信頼関係や営業の最前線はあくまで、営業さんや代理店で、自分が顔を出すようなものではない、と結衣は思うのだが。
< 21 / 270 >

この作品をシェア

pagetop