声と性癖
バターライスにパセリを振り、ビーフストロガノフをかけて「どうぞ。」と2人に出す。

一口食べた2人が笑顔になったので、結衣はとても嬉しくなってしまった。


「ご飯、喜んで下さって良かったです。」
キッチンに立って洗い物をしている結衣の横に立ち、涼真は布巾で拭いて器をしまってゆく。

「あいつ、結構食べましたね。」
結衣の作ったものは、誰にも分け与えたくなかった涼真が少しへこみつつ、結衣に呟く。

「いい食べっぷりでしたね。」
うふふっと、結衣が笑う。  

へこんでいる涼真が、少し可愛いのと、そんなのいつでも作ってあげるのにと思うからだ。

最後に洗い上げた皿を、涼真に手渡した。
涼真はそれを拭いて仕舞うと、シンクを拭いている結衣を後ろから抱きしめる。

そんな話をしていると、シャワーを浴び終わった楓真が、2人の横を通って冷蔵庫を開けた。
「お邪魔―、水もらうよー。」

結衣は固まってしまったが、涼真は結衣を抱きしめたまま離さない。
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