声と性癖
「大丈夫です。結衣さんの声はほとんど聞こえていないし。ここ、ちゃんと壁は厚いんで。大丈夫です!結衣さんの声は聞こえていないんで!」

大事なことだけど、2回言わなくていいからっ!!

「お前は、朝から何を結衣さんを困らせているんだ?」
結衣が真っ赤になって立ち尽くしているのを見て、涼真が後ろから声を掛け、片手で結衣をきゅっと抱く。

「こちらこそすみません。その……お聞き苦しいものを……」
消え入りそうな声で結衣が答える。

「結衣さん、それは僕の声が聞くに耐えないってこと?僕の声も、好きって言ってましたよね。」
はう……あー……。
頭良いはずなのに、時折答えが全く違うのはなぜなのだろうか?

「困らせてんのは涼真兄でしょ。てか、困ってる結衣さんむっちゃ、可愛いね。」
「結衣さんは僕のだ。」

「だから、分かっているから……。もー、褒めただけじゃん。結衣さん、ホントいいの?こんな独占欲強い人で。」
兄弟して、朝からなんなのー?

「えっと……とりあえず、ご飯にしませんか?」
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