声と性癖
自分にも衝撃だし、恐らくは彼女にも衝撃だったのだろう。
「収集癖があるようなんだ。声もだし写真とか集めたい。後から見ると、グッとくる」

「一緒に撮った、うぇーい!てやつとか?」
「いや、出来れば彼女だけのものがいいな。フォトジェニックであれば言うことはない」

いやいやいや……それは、引くだろ。
それを淡々として、言わないで欲しい。
「変か?」
「んー、まあ若干……?」

そんなこんながありつつも、涼真はモテる。
弟の楓真から見ても、充分イケメンだし、顔だけではなくて頭もいい。
そんな兄は女の子の影があることもあったが、長続きすることはなかった。

やはりあの性癖がネックなんだろうな……と思ってはいたのだが。

ある日、訪れた兄のオフィスの仮眠室がわりの部屋で、女性と一緒に寝ている兄を見た。

女性……久々に見た。

二人の姿はとてもしっくりしていて、見ている方もつい見惚れてしまったけれども。
あまりにもじろじろ見てしまったからだろうか。兄に布団でさりげなく隠されてしまった。

けれどその布団の隙間から見た、彼女の姿は綺麗だったように思う。
兄のこと、分かっているんだろうか……。
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