声と性癖
そもそも仕事の件で訪ねたので、それについては細かく聞くことも出来ず、楓真はデータを涼真に渡した。
その確認をしてもらっている間、じっと見つめても涼真がなにかを言う気配はない。
こんな時の兄は何も言わないことが分かっているので、楓真はやむなく自分から切り出すことにする。
「えっと……人いたよな。」
涼真に淡々と返される。
「いたな」
「女性だったよな?」
「女性だな。お付き合いしている人だからな」
さらりと言われた。
しかも兄曰くに、涼真の性癖を理解していて、まっさらな女性だと言う。
そんな都合のいいことあるんだろうか??
そう思ったけれど。
涼真はあまり他人に心を開かない。
昔はそんなことはなかったと思うのだが、頭の回転がよすぎるせいだと、楓真は勝手に思っている。
涼真は人の考えを先読みして、先回りするタイプだ。
感覚の鋭さはいいこともあるが、気付きたくないことにまで気付いてしまったら、傷つくこともあるだろう。
そういうことの積み重ねが、兄を頑なにしていったような気がするのだ。
その確認をしてもらっている間、じっと見つめても涼真がなにかを言う気配はない。
こんな時の兄は何も言わないことが分かっているので、楓真はやむなく自分から切り出すことにする。
「えっと……人いたよな。」
涼真に淡々と返される。
「いたな」
「女性だったよな?」
「女性だな。お付き合いしている人だからな」
さらりと言われた。
しかも兄曰くに、涼真の性癖を理解していて、まっさらな女性だと言う。
そんな都合のいいことあるんだろうか??
そう思ったけれど。
涼真はあまり他人に心を開かない。
昔はそんなことはなかったと思うのだが、頭の回転がよすぎるせいだと、楓真は勝手に思っている。
涼真は人の考えを先読みして、先回りするタイプだ。
感覚の鋭さはいいこともあるが、気付きたくないことにまで気付いてしまったら、傷つくこともあるだろう。
そういうことの積み重ねが、兄を頑なにしていったような気がするのだ。