声と性癖
だめとか、だってとか結衣が言っているのを、涼真が嫌だとか気にするなとか言っていて。

いや、普通は気にするだろ。むしろ少しは気にしてほしい……。
こっちだって、お年頃なんだ!

なんだか、こっちが気にするのもアホらしい気がして、楓真はがつがつとキッチンに入って行かせてもらった。
──はいはい、ごめんよ〜。

「お邪魔ー、水もらうよー」
冷蔵庫を開けて楓真が水を取ると、結衣が固まっているのが見える。

涼真は結衣をぎゅうっと抱きしめたままだ。
「仲良しだね」
楓真はそう言って笑いかけた。

兄は難しい人だし、あんな風に誰かに執着する所を楓真は見たことがない。
だから、そんな風になれる人に出会えたことは、良かったんだろうと思う。

……思うよ?
思うけれども……!!

あんなに溺愛になっちゃうか?

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