声と性癖
番外編3:おまけのお話
「38度4分あります。」
「そんなに熱出たの、久しぶりだな。」
体温計を確認すると途端にぐったりするのはよくある話だ。

今、2人で一緒に暮らしているマンションである。
翌日が遅番の時など、帰れる時はなるべく帰るようにしていた結衣ではあるが『熱があるかもしれない』と涼真から連絡があったので、急いでマンションまで帰ってきた結衣なのだ。

結衣が部屋に入ると、ソファで涼真がスーツのままぐったりしているのを発見した。

触れてみると熱くて、今までみたことがないくらい涼真がぼうっとしている。
明らかに、体調がおかしいと分かった。
体温計で測ってみたところ、冒頭通りの体温だったわけだ。

「涼真さん、とりあえずスーツ脱いで、部屋着に着替えましょうね。」
「ん……シャワー……。」
「ダメです。なにかあっても困るし。」
「じゃ、結衣さんついてて……。」

ん……?
でも、本当に体調は悪そうだし。

隙あらば、結衣とべったりしたがる涼真ではあるが、体調が悪いのでは仕方ない。
それにこんな状況では、いたずらどころではないだろうし。
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