声と性癖
立ち上がるのも億劫……という感じで、バスルームに向かう涼真を追って、結衣はささっと服を脱ぎ、バスタオルでくるんと巻いて、バスルームの中に入る。

「え?結衣さん、脱がないの?」
「今日はダメ。」
涼真は苦笑した。
「残念。」

もう!本当にそれどころじゃないでしょ?

結衣は涼真に椅子に座ってもらい、シャワーで優しく体を流す。
「大丈夫ですか?」
「うん……。」

なんだか子供のように素直な返事が返ってくるのが、可愛い。

本当にこんな涼真さん、風邪でも引いてなかったら見られないよね。

バスタオルで体を拭き、着替えてもらっている間にうどんを茹でる。
少しくたっとなるくらいまで煮て、卵でとじた。

身体が怠そうな涼真は、少し気怠い雰囲気を身にまとっていて、普段より……なんというか、結衣にしてみたらセクシーに感じる。

いやいや、こんなことを考えてはいけない。
けれどいたずらもしないし、お返事は素直で可愛いし見た目はセクシーだし、弱っていて優しくしたくなるではないか!
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