声と性癖
女子にとっても憧れでもあるナース服を手に、結衣は少しご機嫌でパントリーに向かう。

どこで入手したものか、微妙に身体のラインにフィットしているし、心なしかスカートも短いし微妙にエッチくさい。

けれど酔いで完全に飛んでいる結衣は、かわいーじゃーんとご機嫌だ。

「失礼しまーす。」
トントン、と涼真の部屋をノックすると、
「どうぞー。」
と浮かれ気味な涼真の声が聞こえる。
「入りますよー。お加減いかがですか?」

実を言えば結衣は研修で、ロールプレイングのコーチもする。
その際のコーチの心得は、まず『照れなどなくすこと!』コーチが照れてしまっては、話にならない。

目の前にいるのが、お客様かの如く対応をする。

そうして、研鑽《けんさん》を積むことで、現実のお客様にも対応出来るのだ。
お手本を見せるために実演することも、よくあることだ。

研修でのロールプレイングは、何人もの目の前で、言うなれば小芝居を披露するようなものだし、正直言えば慣れないとつらい。
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