声と性癖
な…なにが起こった…の…?

部屋を出て、みんなのところに帰る途中、急に動悸が激しくなる結衣だ。

『ね?』ってなにが?ほっぺた、撫でられた。
き…危険すぎるでしょ!ダメでしょ!!

ダダ漏れの色気と、深い声で、聞いているだけでなにも考えずに頷いてしまう。

すごいなー。
しかし、怖いなー。

「結衣ちゃん?大丈夫?」
「うん。平気。ホテル近いし。」

食事が終わり、気をつけて帰りなよーとか、また、こっち来るときは連絡してねーという声を聞いて、またねーと手を振って、結衣はホテルに向かって歩き始めた。

携帯を手に取る。
着信には先程受信した、蓮根の電話番号が表示されていた。

蓮根に連絡はしないつもりだ。
そんな連絡など、できるはずもない。

ところが、急に手元の携帯が着信を知らせて、ぷるるっとなり、わああっ!と驚いた結衣は、思わず反射で出てしまった。

『今、終わったんですよね?』
携帯から聞こえてくるのは、もちろん蓮根の声だ。
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