声と性癖
「声フェチなんですか?」
「はい。」
きっぱりした回答。
爽やかな笑顔。

質問の内容と、回答の内容とは、全く合っていないその爽やかさ。

「最初はあなたの声が、けれど、その後の対応のテキパキした感じや、納得のいく説明を聞いていて、どんな方なんだろうと思っていました。まあ、もともと、若干声フェチ気味だったんですけどね。」

若干?若干って?!
声だけじゃないですよ、とはにかまれても…。
    
この際、約款でもいいとか言っていたよね!
さっき!

もう、声さえ聞ければ、中身はなんでもいいって思ったよね?!
ガチのフェチじゃん!

「だから、仮にステキな人がいても、声がイマイチだと萎えてしまって。その点あなたは完璧です。
確かに、最初に声に惹かれたのは、間違いないですけど、こうしてお会いしたら…。」
ふわりと頬を撫でられる。
< 34 / 270 >

この作品をシェア

pagetop