声と性癖

「車ですから。普通ですよ。あなたは僕に興味なんてないくせに、時折、どきりとするような表情をするんですよ。その、理由が知りたい。」
この観察力、やっぱり、ただの変態ではない。

でも、でも、言いたくない！絶対！

「僕は、本当にあなたに会えるなんて思っていなくて。だから昨日会えたことは、本当に運命のようだと思っています。それは僕の本音です。本当はあなたにも本音で話して欲しい。
けど…いきなりは無理なのも分かります。だから、あなたが僕のことを知って、話してもいい、と思ったら、話して欲しい。」
いいですか？と額をこつん、と合わせられる。

「は…い。」
その後は本当に驚くくらい、普通にお出かけしたのだ。

結衣が見たい、という服を見て、食事をし、お茶をする。
その間も楽しい話をしてくれたり、結衣も差し障りのないところで裏話をしたりした。

「はー、すっごく楽しかったです！あのシフォンケーキは、もう神レベル！ほんっとに、美味しかったぁ。いいお店を教えて頂いて、ありがとうございます。」
　　　　　　　　
「いいえ。気に入って頂けてよかった。このまま高速に乗っていいですか？お送りします。」
「でも、遠いし、大丈夫ですよ、近くの駅で。」