声と性癖
蓮根も事務所に連絡をして、保険会社から連絡を寄越すよう伝える。
アポイントもリスケを頼んだ。

ディーラーにも連絡を取る。
『自走出来そうですか?』
ディーラーは馴染みなので、蓮根のこともよく知っている。そのこだわりの強さも。

「エンジンはかかるが、へこみがありますからね。出来なくはないですけど、警察には嫌な顔をされそうだ。」

『すぐ、レッカー手配します。あ、蓮根先生、保険会社は?』

「警察と保険会社は連絡しました。今、先方からの連絡待ちです。」
『分かりました。』

その後、実況見分やら、レッカー待ちで、蓮根のイライラがマックスに達しようとしていた時、保険会社に代車は同じ車種での用意が難しいと言われる。

「同等クラスの車を用意して下さい。」
『同じ車種ではご用意が難しくて、同等クラスのお車をお探しします。』
慌てたような声が電話口から聞こえてきた。

先程から、蓮根は同等クラスだと言っている。
そもそも、同じ車種での用意が無理なことなど、分かっている。
蓮根の車はその辺に売っているものとは、訳が違うのだ。

「急いでいるんだけどね?無理は言っていないと思いますよ?」
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