声と性癖
「ログ、聞いてみたいなー。」
「聞けるよ。報告書作ったやつだから。」

クレームではなかったけれど、スタッフの対応後にSVに引き継いだ案件は、報告書が必要なのだ。
「クレーマーなんですか?」
「いや?通常対応だったよ。ただ、後日、ご本人にお会いして…。」

「なんで?!なんでそんなことが起こるんですか?運命ですか?運命なんですね?」

なんで、この子がこんなに興奮してんの?!

「なんかー、それだけ聞いてたら、運命じゃないですか!お互い声しか知らない相手と出会う!そんなこと、ないですよっ。それは、きゅんきゅんしますよー。」
「向こうはガチの声フェチ。」

結衣もまさかレコーダーで録音されている、とまでは思っていない。

「声フェチなら、結衣さんに堪らないって、分かりますよ。もう、女神?って思いますよ、先方は。」
「私はそうでもないはずなんだけどなぁ。」

「ツボじゃないですか?ヘンな言い方ですけど、たまたま入ったそこがツボだった、みたいな。」
「ツボってんの?私?」
「なら、納得じゃないですか?」
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