声と性癖
すごく、純粋で真っ直ぐな人なのかも。
先日から、結衣を喜ばせることばかりを考えていて、結衣が喜ぶと一緒に喜んでくれる。

「蓮根さんは、いかがだったんですか?」

「あなたが、初めての体験だと言うので、その初めて、を一緒に過ごせた幸せを噛み締めていました。」

そこかー…。

まあ、ある意味まっすぐだよ。
方向性は別にしてね!

清浄な雰囲気とか…。
もー、結衣の初めての体験とか…、よこしま過ぎて、清浄に対して申し訳ない気持ちになるよ。

「さっき、海、見えましたよね。行ってみませんか?」
結衣が申し訳ない気持ちになっているのをよそに、海を見に行こうと提案する蓮根だ。

そう言われると行ってみたくなって、
「はい。」
と結衣は答えた。

2人は車に乗って、今度は海の方へと移動する。
秋も終わりかけの海は、あまり人はいない。
天気が良くて幸いだ。

先程までの閉鎖的な空間とは違い、海は大きく迫力のある姿を見せている。
ずっと奥まで続いている海岸線と、高い波。
そして、波の音。
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