声と性癖
「え?」
「コンクリートに直接座ったら冷たいですよ。だから、あなたはここ、です。」
「あのっ!」

少し、じたばたしてはみたものの、しー、と耳元で囁かれて思わず結衣の動きが止まる。

「ち、近いです!それに、申し訳ないですし…」
「じゃあ、大人しくして。音を聞いて、景色を見たいんですよね?」
「でも…」

「いいから、あなたがしたいことをしましょう。」
膝の上なんて、なんだか、逆に落ち着かないけど。
あなたがしたいこと…、もしやそれは逆なのでは…。

「結衣さん、いい匂いしますね。何かつけてます?」
「なにも?」

なんだろう。
自分でくんくんしてみても、よく分からない。

「髪かな?」
「シャンプーでしょうか。」

「そうかも知れませんね。結衣さんて、肌も綺麗ですね。今日はタートルだから見えないけど、先日のニットの時は少し首が見えていて、ドキドキしました。」
聞いているこっちが、ドキドキしますけど。
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