声と性癖
だから、どうしても近いとドキドキしてしまう。
それに、本当にダメらしいと改めて分かった。
蓮根の声。

「涼真って、言って?」
いつもは丁寧に丁寧を重ねたような話し方なのに、蓮根こそ、時折交じるタメ口は、反則だ。

「涼真…さん…。」
「は…ぁっ、すごくいい。」

え?なんだろう、怖いよ…。
少し上気した顔で、熱くこちらを見てくる。
なんだか、とても艶っぽい感じなんだけど、それって…。

「結衣さん、お願いです。もう1回。」
…感じてませんか?声かな?

「なんか、やだ。」

目の奥が真剣だよ!
声でしょ、絶対声だ!

「お願いします、もう1回だけ!」

じゃなきゃ、離しません、とぎゅうっとされる。
胸の中に抱き込まれると…。

自分こそ、いい匂いじゃないですか!

恐らくは男性物のフレグランス。
グリーン系の爽やかな、それでいて少し甘みのある香りは官能的で、蓮根によく似合っている。
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