声と性癖
もう、訳が分からない、ただ、自分の鼓動がどくどくと音を立てていて、息をするので必死で、呼吸が荒くなっているのを感じるだけだ。

「結衣さん、僕はね、万が一に備えるタイプなんですよ。」

???
この雰囲気から、なんの話?

「我慢、出来ます?」
結衣は、今ほどまでの自分の乱れた姿を思い出し、真っ赤になる。

「あ、あのっ!お構いなく。大丈夫です!本当に気にしないでください!」

「遠慮、しなくていいんですよ。」
ふふっと笑顔を向けられる。

いえ、本当にお構いなく……、マジで…。
キスだけで、死んじゃうかもってくらい、感じさせられたとか、ありえないし、我慢とか!
してないんで!!
てか、むしろ、いっぱいいっぱいだったんで!

「あなたを見てると…その、とてもピュアな感じで、初々しいところをとても好ましく思うんですよ。けど、反面、それを汚したいっていう、乱暴な気持ちにもなる。
誰彼構わず見せびらかしたいような、閉じ込めて、誰にも見せたくないような、…極端ですよね。でも、そう思うんです。」
< 83 / 270 >

この作品をシェア

pagetop