声と性癖
──こんな感覚、知らないよ…!怖い!!
目を閉じて、泣きそうになる。
「どうしました?」
「うっ…く…、こ、怖いんです…。こんなの、やだ。」
「怖い…?」

「だって、…さっきから、息をするっ…のも、いっぱい、いっぱいで…なんにも、してないのに、変なんです。やだ。こんなの…」

後部座席で、両腕に閉じ込めていた蓮根が身体を起こして、結衣の腕を引く。
おいで、と微笑んで、結衣を膝の上に横にして座らせた。

「自分で何言っているか、分かっていますか?」
「やだ。って言ってます。」

「違いますよ。今まで、こんなに感じたことないって言ってるんですよ。初めての感覚だって。」
蓮根に顎をそっと、その長い指でくすぐられる。

「本当に可愛い人ですね。」
あの…言ってませんけど、そんなこと…。
相変わらず、脳内変換がすごくて、結衣は絶句する。

「抱きたい…。」
「は…?」
聞いていたのだろうか…?

「えっと…無理です。やだ。怖いです。」
「さっきも言いましたよね、それは、今までない感覚だからですよ。僕があなたに初めての感覚を体験をさせるなんて、すごく…、興奮する…。」
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