声と性癖
「え…?うそ…」
蓮根がにっこり笑う。
「僕が嘘を言うように見えますか?」
「見えません…」

何故か、そこは信頼出来るような気がする。
こういうことだけは!

もうちょっとだけ、我慢して。
そう言って、頬にキスをして膝から結衣を降ろすと、呆然としている結衣にシートベルトをつけ、蓮根は運転席に移動する。

我慢…?
我慢て、ナニ?

リゾートマンション?
万一に備える?

え?え?
じゃあ、そもそも、ここに来たこと自体、こういう事態に備えてたって事?

ひょええ…。
結衣は後部座席で頭が真っ白になり、ちーん…という音を聞いた気がした。
    
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