声と性癖
「いつまで、外を見ているんです?」
シャッとカーテンを引かれてしまい、外が見えなくなると、蓮根と向かい合う事しか出来ない。

「あ…の…。」
前に蓮根が立っている。

後ろに後ずさる結衣は、窓に背中をぶつけてしまった。
これ以上は、後ろに行けない…。

「どうしたんです?」
にっこり微笑む蓮根は、本当に顔がいい。
「い…え…。」

「結衣さん、こっちを見てください。」
言葉は丁寧なくせに、強引に顔を両手で仰けられる。

「っ…あ…」
「いい声…。もっと、聞かせて…。ん…?」
蓮根の端正が顔が近づいてきて、唇が重なった。

「可愛い……」
「…っ、…ん…。」
「なんで、カーテン掴んでいるんですか?」
「なんででしょう…?」
「僕の身体に手を回して?」
「…あ…」

低くて、甘い声、そして、優しい表情。
つい、言われたまま腕を身体に回してしまう。

胸の鼓動が激しい…。
どきどきしている音が自分の耳に響いて、こんなに近くにいたら、蓮根にまで聴こえそうだ。
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